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事業承継全体像

事業承継全体像について

事業承継とは事業を後継者へ引き継ぐこと。

事業とは、会社が営利を目的として行う経済活動であり、その元となる経営資源には有形の資源、無形の資源が含まれます。

経営者が起業し人生かけて育てた事業を、後継者へ引き継ぐことは最後の大きな仕事であります。

中小企業は日本の経済基盤を支える重要な役割を担っています、その中小企業の経営者の高齢化が進んでいます。

高齢化した中小企業のオーナー経営者の事業承継は重要な経営課題であり、日本経済においてもその事業承継がスムーズになされないと経済的な損失は大きなダメージになるとして、政府も様々な支援策を講じています。

承継する経営資源は3つの要素で構成

経営の承継

後継者への経営権を譲ること。経営権とは会社経営上の権限、財産処分の権限、人事の権限等の権限一切を持つことです。
経営権の承継には、後継者の選定からはじまり現経営者が築き上げたものを数年かけて育成し引き継ぐ必要があります。
現経営者と後継者の対話(コミュニケーション)が鍵となります。

□経営権
□後継者の選定
□後継者の育成、対話

資産の承継

資産の承継は、事業を行う上で必要な資産を後継者に承継させること。法人では自社の株式、個人事業主では資金、設備・不動産、許認可等が主なものがあります。
資産の後継者への承継方法は、贈与・譲渡・相続を活用します。
資産の承継には、贈与税・所得税・相続税等の税金の負担が発生します。

□株式 □事業用資産(設備・不動産)
□資金(運転資金、借入金等) □許認可

知的資産の承継

特許に代表される知的財産だけではなく、企業には、その企業特有の目に見えない資産があります。
技術力やノウハウ、取引先(お客様や協力会社)との人脈、組織力も含めて会社の強みとしての知的資産を承継します。


□経営理念 □経営者の信用 □取引先との人脈
□技術、ノウハウ □顧客情報

事業承継パターンの4つの選択肢

事業承継パターンの選択

承継パターンの選択は、事業承継においては重要な事項です。
後継者の選定においては、適正を見極めながら時間をかけて行う必要があります。

親族内承継

経営者の子供や親族への承継

後継者の候補として最も先にあがるのは直系の子や孫で、中小企業白書(2017年)によると、中小企業の6割が親族内承継です。
資産の承継の方法には、『生前贈与』『相続』『その他(譲渡、会社設立等)』が考えられます。

メリット

後継者教育を身近に行える
親族への承継は、金融機関や社内外関係者からの理解が得やすい

デメリット

後継者以外の親族(相続人等)との調整が必要

親族外承継

会社役員や従業員への承継

先に社内で対象者を検討することとなりますが、適切な候補者がいない場合は取引先や金融機関から招き入れるケースもあります。

メリット

優秀な後継者を選定できる
会社関係者への理解が得やすい

デメリット

個人保証の債務引継ぎが発生する
現経営者の親族の理解が必要

社外承継

M&Aによる承継

適切な候補者がいない場合、売却資金を得たい場合に第三者へ会社の売却を検討。

メリット

株式の売却代金を得ることができる
企業価値が高まる可能性もある

デメリット

売却先との交渉に時間と手間がかかる。
仲介業者への手数料が発生する
社員の雇用不安が発生

廃業

後継者がいない場合では、廃業も選択肢の一つとなります。
業績がよい会社であれば廃業もスムーズに行えるのですが、会社の資産を処分しても借入等の負債を抱えている場合は簡単にはいきません。

メリット

後継者を探しや育成する労力がかかりません

デメリット

会社の資産を売却した清算価格や株主に所得税が課税される

なぜ経営者に相続対策が必要なのか

自社株の移転は、「生前贈与」「売買」「相続」3つの方法しかありません

資産の承継では、自社株を後継者に渡すことになります。生前であれば贈与、売買と言った手法を取るこ とになるのですが、その場合は「特定承継」と言います。
一方、相続で渡す場合も想定されます。相続では遺言書で個別の財産の指定がない限り、相続人全員へ共 有として、正の財産・負の財産すべて渡されます。これを「包括承継」と言います。
相続人が複数人存在していた場合は、遺産分割協議で財産を分けることになるのですがそれまでは財産は 共有(自社株は準共有)となります。
もし、遺産分割で相続人同士の争いが生じた場合は、自社株は準共有状態のままとなります。会社法では 共有者は権利を行使するものを選出しないと株主としての権利行使ができないことになっています。
経営者が株式を持ったままお亡くなりになると、対策を講じていなかった場合は権利行使者が決定するま では、株主総会で会社の重要な決議が出来ないことになり、経営に影響を及ぼす可能性が生じます。

Point1▶︎

争族争いを未然に防ぐ

経営者が持っている自社株は相続財産です、その他の相続財産と合わせて相続税の課税対象となります。
相続人である後継者への財産(自社株・事業資産が集中した場合、その他の相続人との財産の配分で揉める可能性が出て来る場合もあります。
そのような、相続財産をめぐって相続人間の争いを未然に防ぐ対策も必要になります。
特に、遺留分を侵害するような場合は注意が必要です。

Point2▶︎

自社株の相続税評価額を下げる

資産の承継で「生前贈与」「売買」「相続」の3つの方法のどの手法を使っても、税負担を軽減し 移転をしやすくするためには、自社株の評価額を下げる必要があります。

①経営者に退職金を支払う
経営者の退任に合わせて退職金を支払うことで、資産を減少させることが出来ます。

②不良債権の処理を行う
売掛金の回収見込ができないもの、不良在庫などを処理します。

③生命保険の加入
損金性の高い保険に加入することで、資産の減少と節税効果を図ります。
また、保険契約を法人契約から個人契約へ名義変更することによって退職金の代わりに保険 契約を現物で支払うこともでき、経営者の老後の保障として持つこともできます。